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Web-EDIとは取引の新常識?導入メリット・デメリットを解説

Web-EDIとは、企業間の取引をよりスムーズかつ効率的にするための革新的なシステムです。従来のEDIと比べ、Web-EDIは導入・運用が容易なうえ、さまざまなデバイスで利用できます。

本記事では、Web-EDIの基本的な機能やメリット・デメリット、従来のEDIとの違いについて詳しく解説します。Web-EDIの導入事例やおすすめツールも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

Web-EDIの基礎知識

「Web-EDIとは何か」という基本を理解することは、企業間取引を効率化するための第一歩です。Web-EDIと従来のEDIとの違い、さらにはインターネットEDIとの違いを知ることで、自社に最適なシステムを選択するための判断材料が得られます。

本セクションでは、これらの違いとそれぞれの特徴について詳しく説明します。Web-EDIがどのように業務を変革し、ビジネスの成長を促進するのかを見ていきましょう。

 

Web-EDIとは?

Web-EDIとは、インターネットを利用して企業間で受発注などの商取引業務をおこなうシステムです。業務の効率化を図るために設計されており、ブラウザ型(伝票表示型)とファイル転送型の2つのタイプに分類されます。

ブラウザ型は、紙の伝票イメージをそのまま画面に表示し、注文書や納期回答、出荷情報の入力をおこないます。一方、ファイル転送型は、ビジネス文書のデータをファイル形式でやり取りする形態で、発注企業がサーバにアップロードした注文書ファイルを受注企業がダウンロードして処理します。

Web-EDIは企業間の取引をよりスムーズにし、業務の効率化を実現するための有力な手段です。

 

従来のEDIとの違い

従来のEDI(レガシーEDI)は、アナログ回線やISDN回線を使用してデータを交換するシステムです。専用の回線を使用するため高いセキュリティと信頼性を持ちますが、設定や運用に専門知識が必要で、システム変更も手間がかかります。

一方、Web-EDIはインターネットを利用してデータ交換をおこなうため、専用インフラが不要で導入コストも抑えられます。また、リアルタイムでデータのやり取りができるのも魅力です。

なお、NTT東西によるISDN回線の「ディジタル通信モード」のサービス提供終了により、ISDN回線を利用した従来のEDIは使用できなくなります。2027年頃までは補完策が用意されていますが、処理遅延が発生する可能性もあり、Web-EDIなどへの移行が推奨されています。

 

インターネットEDIとの違い

Web-EDIとインターネットEDIは、どちらもインターネットを利用してデータ交換をおこなうシステムですが、その実現方法に違いがあります。

インターネットEDIは、専用のソフトウェアやプロトコルを使用してデータを交換するシステムです。設定や管理に専門知識が必要なため運用には手間がかかりますが、高度なセキュリティ対策やデータ管理が求められる場面に適しています。

一方、Web-EDIはブラウザを使用してデータの送受信や管理をおこなうため、場所を選ばずに利用でき、リアルタイムでのデータ更新が可能です。操作が簡単で導入コストも低いので、中小企業にも適しており、特別な専門知識がなくても運用できる利便性があります。

 

Web-EDIを導入するメリット

Web-EDIの導入により、企業は業務効率化とコスト削減の恩恵を受けることができます。さらに、取引先とのデータ交換が迅速かつ正確におこなえるため、ビジネスプロセス全体のスピードアップが可能です。

ビジネスの柔軟性を高め、競争力を強化するために重要な要素となるこのシステムについて、具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。

 

簡単操作で業務が完結

Web-EDIの大きなメリットは、ブラウザ上の簡単な操作で受発注業務が完結する点です。

従来のEDIでは専用のソフトウェアやシステムの設定が必要でしたが、Web-EDIではインターネットに接続された端末から直接アクセスでき、複雑なインストールや設定が不要です。この利便性により、特別なITスキルがなくても利用でき、業務の効率化が図れます。

さらに、業務プロセスがシンプルになることで、ミスの削減や迅速な対応が期待できます。

 

マルチデバイス対応

従来のEDIはパソコンでの利用が基本でしたが、Web-EDIの多くはスマートフォンやタブレットでも利用可能です。そのため、外出先や出張中でも受発注業務をリアルタイムで確認・対応でき、ビジネスの柔軟性が大幅に向上します。

また、複数のデバイスからアクセスできることで、異なる部署間での連携もスムーズに進み、情報共有が容易になります。そのため、リモートワークを推進している企業や多拠点展開している企業、迅速な意思決定が求められる企業は特にその恩恵を実感できるでしょう。

 

導入・運用のコスト削減

Web-EDIは従来のEDIシステムに比べ、導入や運用のコストを大幅に削減できます。

従来のEDIシステムは専用のハードウェアやソフトウェアが必要であり、高い導入コストがネックでした。しかし、Web-EDIはインターネットを利用するため専用インフラが不要で、導入コストはそこまでかかりません。そのため、中小企業でも手軽に導入できるのが大きなメリットです。

また、Web-EDIはブラウザベースの操作で専用システム管理者が不要なため、管理やメンテナンスが簡単で運用の手間やコストも削減できます。クラウドサービスを利用すれば、サーバー管理やソフトウェアのアップデートも自動化されるため、運用コストをさらに削減できるでしょう。

 

安定した業務効率

Web-EDIはインターネットを活用することで、従来のEDIよりも安定した業務運用が可能です。専用回線を必要とせず、インターネット接続があればどこからでも利用できるため、通信障害や遅延のリスクが低減されます。

また、データの送受信がリアルタイムでおこなわれることで、タイムラグなく受発注業務や在庫管理ができ、業務の効率化が図れます。システムの導入や操作も簡単で、従業員の教育に時間をかけなくても日常業務にスムーズに適用できるのも嬉しい特徴です。

 

Web-EDI導入のデメリット

Web-EDIの導入には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットを理解することで、導入に際してのリスクを最小限に抑え、システムをより効果的に活用するための対策を立てることができます。

それでは、Web-EDI導入時に注意すべきデメリットについて詳しく見ていきましょう。

 

インターネット環境への依存

Web-EDIはインターネットを利用してデータをやり取りするため、インターネット環境が整っていないと十分に活用できません。特に、ネットワーク障害や通信速度の低下が発生した場合、業務が滞るリスクがあります。そのため、信頼性の高いインターネット接続環境を確保することが重要です。

当然、リモートワークや出張先での利用でも、安定したインターネット環境が求められます。インターネット環境の整備は、Web-EDIの導入において避けられない課題のひとつです。

 

セキュリティリスク

Web-EDIはインターネットを介してデータをやり取りするため、従来のEDIと比べてセキュリティリスクが高まります。

従来のEDIは専用回線を使用していたため、外部からのアクセスが制限されており、高いセキュリティが保たれていました。しかし、Web-EDIはオープンなネットワークを利用するため、ハッキングやデータ漏洩のリスクが伴います。

企業間でやり取りされる機密情報や取引データが不正アクセスによって漏洩すると、企業の信頼性が損なわれるのはもちろん、経済的な損失や法的トラブルに発展する可能性も否定できません。

そのため、Web-EDIを導入する際はデータの改ざんや盗難への対策を徹底し、取引先との関係悪化やビジネスチャンスの喪失といった影響が出ないよう気を配ることが大切です。

 

取引先の同意が必要

自社でWeb-EDIを導入しても、取引先がWeb-EDIを導入していないとシステムを十分に活用することができません。そのため、取引先にもWeb-EDIのメリットを理解してもらい、同意を得ることが重要です。従来のEDIからWeb-EDIへの移行には新しいシステムや操作方法の導入が必要となるため、しっかり協議しましょう。

また、取引先が複数ある場合、それぞれの同意を得るための調整作業も発生します。すべての取引先が新しいシステムに対応できるかを確認し、必要に応じてサポートを提供することが重要です。

同意を得るプロセスがスムーズに進まないと導入計画自体が遅延するリスクもあるため、慎重な準備が求められます。

 

システムが標準化されていない

Web-EDIはまだ業界標準が確立されておらず、各企業が独自のシステムを構築している状態です。そのため、取引先ごとに異なるフォーマットやプロトコルを使用している場合、システムの互換性に問題が生じることがあります。

また、標準化されていないシステムは、導入や運用において追加のカスタマイズや設定が必要になるため、手間やコストが増えることも考慮しておかなければなりません。

システムの標準化が進まない限り、Web-EDIの導入にはこのような課題が伴います。企業間の効率的なデータ交換を実現するためには、業界全体での標準化への取り組みが求められます。

 

通信プロトコルの設定が必要

Web-EDIを利用するためには、通信プロトコルの設定が重要です。

従来のEDIシステムは、専用の通信プロトコルがあらかじめ設定されていますが、Web-EDIではインターネットを介してデータを送受信するため、自社で適切な通信プロトコルを選び設定する必要があります。主に利用されるプロトコルは、EDIINT AS2、ebXML MS、JX手順、SFTPなどです。

これらのプロトコルは、データのセキュリティと信頼性を確保するための重要な要素です。企業は、自社のシステムに適した通信プロトコルを選定し、安全かつ効率的なデータ交換を実現する必要があります。

 

攻めのIT化とは言い難い

Web-EDIは業務効率化やコスト削減に効果的ですが、攻めのIT化とは言い難い面もあります。

これは、Web-EDIが主に既存業務の効率化を目的としているためです。Web-EDIの導入により、受発注業務の自動化やデータのリアルタイム共有が可能になりますが、新たなビジネスモデルの創出や市場開拓といった攻めのIT化ではありません。

そのため、企業が積極的に新しい技術を取り入れ、競争優位を築くためには、Web-EDIとあわせて他の先進的なITソリューションの導入も検討する必要があります。

 

Web-EDIのデメリットを解消する方法

Web-EDIのデメリットを解消するためには、いくつかの対策が必要です。

  • インターネット環境の安定化
    安定した高速インターネット回線を確保し、通信トラブルを防ぎましょう。


  • セキュリティ対策の強化
    SSL/TLS暗号化、ファイアウォールの設置、定期的なセキュリティ監査を実施し、不正アクセスやデータ漏洩のリスクを軽減しましょう。


  • 取引先との信頼構築
    Web-EDIのメリットを十分に説明し、取引先企業の理解と同意を得ることでスムーズな導入を実現しましょう。


  • 業界標準の規格採用
    システムの選定や通信プロトコルの設定に関しては、業界標準の規格があればそれを採用し、なければ業界団体に尋ねるか似た業界のガイドラインを参考にして対応しましょう。

これらの対策を講じることで、Web-EDIのデメリットを最小限に抑え、効果的に活用することが可能です。

 

Web-EDI導入の成功事例

Web-EDI導入による業務効率化の事例はたくさんありますが、今回は大手消費財メーカー「ユニリーバ」の例を紹介します。

ユニリーバは、紙ベースの書類管理のコスト削減と業務の迅速化を目指してWeb-EDIを導入しました。この導入により、書類の作成や保管にかかるコストが大幅に削減されただけでなく、受発注プロセスが自動化され、従業員の負担が軽減。特に、ロジスティクス業務の効率化が図られ、在庫管理の精度も向上したといいます​。(参考:Comarch

この事例からもわかるように、Web-EDIの導入は業務効率の向上とコスト削減に大きな効果をもたらします。企業はそれぞれのニーズに合わせたシステムを導入することで、さらなるビジネスの成長を目指すことができるでしょう。

 

Web-EDIとBtoB ECサイトの使い分け

Web-EDIとBtoB ECサイトは、どちらも企業間の受発注業務を効率化するために使われますが、目的や機能にはいくつかの違いがあります。

Web-EDIは企業間での定型的で継続的な取引に向いており、大規模なデータ処理やリアルタイムのデータ交換が求められる業界に適しています。製造業や流通業での発注書や納品書の自動送信、在庫管理の同期など、データ交換に特化した機能が特徴です。

一方、BtoB ECサイトは新規取引や多様な顧客との取引に適しており、取引のオンライン化を通じて顧客関係を強化し、販売促進を図ります。マーケティングや決済機能を含む総合的な取引プラットフォームとして、小規模な取引やカタログ販売をおこなう企業に特に有用です。

それぞれの特徴を理解し、自社のニーズに合ったシステムを選びましょう。

 

Web-EDIおすすめツール

Web-EDIの導入には、適切なツールの選定が欠かせません。

このセクションでは、効率的な受発注管理や在庫管理、セキュリティ対策を実現するために、多くの企業が利用しているおすすめツールを紹介します。

それぞれの特徴を簡単にまとめているので、ツール選定の参考にしてください。

 

Web-EDIおすすめツール

Web-EDIを構築するためのツールには、取引先とのデータ交換を効率化して、業務のスピードと正確性を向上させるための多様な機能が揃っています。自社に適したツールを選定し、業務全体の効率化を図りましょう。

  • BL.TRUST
    BL.TRUSTは、日本の企業向けに特化したWeb-EDIシステムです。使いやすいインターフェースと高度なセキュリティ機能が特徴で、多くの大手企業が導入しています。国内の商習慣に適しており、信頼性の高いシステムとして評価されています。


  • Open Text B2B Managed Services
    Open Text B2B Managed Servicesは、グローバルなデータ交換を支援する強力なWeb-EDIソリューションです。多くの業界標準に対応しており、幅広い企業で利用されています。柔軟なデータ交換と高度なセキュリティを提供します。


  • CARGO
    CARGOは、日本の中小企業向けに特化したWeb-EDIサービスです。シンプルな操作性と手頃な価格が魅力で、初めてWeb-EDIを導入する企業に最適です。クラウドベースで運用できるため、どこからでもアクセス可能で、運用の柔軟性が高いのが特徴です。

 

まとめ:Web-EDIを活用した業務効率化の未来

Web-EDIは、企業間の取引を迅速かつ効率的におこなうための有力な手段です。導入することで、業務プロセスの自動化やコスト削減が実現し、業務全体の効率が向上します。また、取引のスピードアップやミスの削減も期待でき、柔軟なビジネス運営が可能になるでしょう。

ただ、Web-EDIにはシステムが標準化されていないなどのデメリットもあります。業界によってはWeb-EDI導入のガイドラインが策定されているため、そういったものも参考にしながら、取引先や業界からの理解を得られるように導入を進めていくことが大切です。

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